惑わし総長の甘美な香りに溺れて
「見上げるとカワイイ顔丸見えだし、怒ってる表情ですら萌えるっていうか……とにかく禁止、俺以外には」

「は? えっ? か、かわいくないよ!」


 慌てて顔を下に向けて否定する。

 かわいいなんて、小さい頃以外ではお父さんや景子くらいにしか言われたことない。

 まさか家族とはいえ同年代の男子に言われるとは思わなかった。


「そ、それより! さっきも誘われてたけど、陽サッカー部入らないの? 加藤くんにも入らないか?って聞かれたんだけど」


 照れ隠しもあって無理矢理話を変える。

 でもサッカー部のことも聞いておくって言っちゃったしね。


「加藤? ああ、モモの友達の彼氏だっけ? あいつもサッカー部なんだ?……いや、でも俺本当に部活とか入る気ないから」

「ってことは別の部活でもってこと?」

「ああ……今はゆっくりしてるけど、俺他にもちょっとやることあるしさ」

「そう、なんだ……」


 “やること”っていうのが何なのか。少し気になったけれど、具体的なことは言わないから言いたくないのかなと思って追求はしなかった。

 それより、やっぱりサッカー部には入らないのか……。

 加藤くん残念がっちゃうかな?

 まあでも、そのときは景子に慰めてもらうよね? なんて思いながら私は陽と共に帰り道を歩いた。
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