惑わし総長の甘美な香りに溺れて
「景子、大丈夫? あの人たち、あんまりいいウワサ聞かないけど……」
加藤くんを呼んだガラの悪い人たちは生活態度が悪いことで有名だ。
無断で遅刻早退は当たり前、授業に出たかと思えばガムを噛んでいたり寝ていたりって状態だと聞く。
それに……。
「うん、久斗はそれほど悪い奴等じゃないって言ってるんだけど……でもあの人たち、南香街にも出入りしているらしいし……」
心配の眼差しを加藤くんがいなくなった方へ向けたまま景子は呟く。
南香街は規制のある街だ。
南の方に立ち入り禁止の区域があって、その場所が危険だからと南香街そのものも未成年は立ち入らないようにって言われている。
何が危険なのかは知らされていないけれど、多分……。
「心配だな……」
呟く景子の表情は悲しそうで、もしかしたらさっき言っていた不安なことというのは加藤くんのことなのかもしれないって思った。
「景子」
「ん? なに?」
「悩みがあったら聞くからね?」
少しでもその心配事が軽くなればと思って、気休めでしかないかもしれないけれど励ます。
そんな私の思いが伝わったのか、景子は優しい笑みで「ありがとう」と返してくれた。
加藤くんを呼んだガラの悪い人たちは生活態度が悪いことで有名だ。
無断で遅刻早退は当たり前、授業に出たかと思えばガムを噛んでいたり寝ていたりって状態だと聞く。
それに……。
「うん、久斗はそれほど悪い奴等じゃないって言ってるんだけど……でもあの人たち、南香街にも出入りしているらしいし……」
心配の眼差しを加藤くんがいなくなった方へ向けたまま景子は呟く。
南香街は規制のある街だ。
南の方に立ち入り禁止の区域があって、その場所が危険だからと南香街そのものも未成年は立ち入らないようにって言われている。
何が危険なのかは知らされていないけれど、多分……。
「心配だな……」
呟く景子の表情は悲しそうで、もしかしたらさっき言っていた不安なことというのは加藤くんのことなのかもしれないって思った。
「景子」
「ん? なに?」
「悩みがあったら聞くからね?」
少しでもその心配事が軽くなればと思って、気休めでしかないかもしれないけれど励ます。
そんな私の思いが伝わったのか、景子は優しい笑みで「ありがとう」と返してくれた。