KISSでチェンジ!
揺れる
その日は家に返ってからもなぜか良明の顔が頭から離れず、ぼーっとする時間が多くなってしまった。
「さっきから全然食べてないけどどうしたの?」

夕飯の席で母親にそう聞かれて純は我に返った。
目の前には大好きなオムライスとからあげがあるのに、ほとんど手つかずだ。

「な、なんでもない。おいしいよ」
慌ててオムライスを大口で頬張って、盛大にむせてしまった。

それだけじゃない。
湯船に浸かりながらもぼーっとしてしまって、危うく溺れかけた。

こんなんじゃダメだと思ったときにいつもの時間が来て、純は窓へ視線を向けた。
開け放たれた窓の向こうですでに良明が待っているのが見える。

後はいつものように向こうへ行って、いつものようにキスをして戻ってくればいいだけだ。
そうすれば男性のままで朝起きることができる。
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