KISSでチェンジ!
勝手に比較して勝手に怒って、『お前』呼びになったとき、良明はキョトンとした表情を純へ向けた。
「どうするって、なにが?」

 高い背を少し曲げて会話しやすいようにしてくれているのが、また腹が立つ。
「明日だよ。誕生日だろ、お前」

 そう言うと良明はようやく自分の誕生日だということを思い出したようで、少しだけ目を見開いた。
「そういえばそうだったな」

 明日の6月一日は良明の一6回目の誕生日だ。
「自分の誕生日も忘れてたのか」

「あぁ、忘れてた」
 嫌味っぽく言ってみても通じず、良明は素直にコクンと頷く。

「で、どこに行く?」

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