KISSでチェンジ!
 って、子育てなんてしたことないってーの!!
 自分で自分にツッコミを入れて余計な思考回路を遮断する。

「そっか。まぁ頑張ってな」
「あぁ。あと、きょうの放課後打ち合わせがあるから、帰りが何時になるかわからない」

 良明は学校終わりにモデル事務所の人と待ち合わせをしているようだ。
 まだ未成年だからそこには両親もいるらしいけれど、途端に遠い人のような感覚がしてくる。

「そっか。わかった。明日は休みだから別に女の姿のままで大丈夫だから」
 今夜は窓の合図も聞けないし、窓から窓へえ飛び移ることもない。

 もちろん、性別を戻すためのキスだって……。
 そこまで考えてまた左右に首を振った。

 これじゃまるで俺が良明とのキスを望んでるみたいじゃないか!!
 そんなことは断じてないと自分に言い聞かせるのだった。
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