KISSでチェンジ!
手伝う
家に戻ってきてもお隣さんに良明の姿はない。
 とっくに女になってしまった自分の体を持て余しながら、純はカーテンを開けて窓の前に立っていた。

 良明の言っていた打ち合わせは長引いているようで、お隣さんの窓はどこも真っ暗だ。
 時間がくれば自動的に点灯するようになっている玄関の明かりだけが煌々と灯っている。

それがなんだか余計に物悲しさを感じさせて純はカーテンを引いた。
 明日は一日女の姿で過ごすしかなさそうだ。

それはそれで新鮮だから別にいいのだけれど、大人になるにつれてどうしても女の体では気を使うことが多くなってきてしまう。

 普段男でいることを決めた純にとっては女性の不便さを嫌でも感じてしまうのだった。
「女子ってすげーよなぁ」

 というのは普段からつい口にしてしまう純の口癖だ。
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