君はまだ甘い!
第11話 誕生日はクリスマス・イブ
ーーーおい!しっかりしろ!
ーーートオル!わかるか!?
ーーー救急車!!
(誰だ?人が気持ちよく寝ているのに…)
トオルは自分の体が突如ふわりと浮いた感覚で、目を覚ました。
随分寝たな…、と思ったが、それはほんの数分のことだったようだ。
バタバタと慌しい喧噪を感じながらも、また瞼が落ちそうになったところで、耳をつんざくようなけたたましいサイレンがそれを妨げた。
「大丈夫ですか?名前言えますか?」
白いヘルメットを被った、知らない男が自分に呼びかけている。
(ここは?…救急車…か?)
ぼんやりとした頭の中で、徐々に記憶が蘇ると同時に、左足に鈍い痛みを感じた。
(ああ。あのシュートの時、か)
自分よりも一回り体格の良い相手チームの選手が、自分を徹底マークしていた。
これを入れれば逆転、という場面で、トオルがダンクシュートをねじ込もうとジャンプした瞬間、体当たりでブロックされた。
(気を失ってた?…てことは頭打ったのか?)
すぐに冷静な思考が戻り、途中退場となった無念と、「生きてた」という安堵の気持ち、そして、疲れが一気に襲ってきて、また目を閉じた。
(トオルはバスケが上手だね~)
(シュート、カッコよかったよ!)
(あなたは母さんの自慢の息子よ。愛してる!)
久しぶりに夢に現れた母は、あの時のままで美しかった。
トオルがミニバスを始めたばかりの時、上手くできない歯痒さで、母親によく当たった。そのたびに、母はトオルを膝にのせ称賛の言葉を浴びせた。
「トオルはまだまだ上手くなるよ。母さんが言うんだから間違いない!」
死ぬ間際も、病室のベッドで横たわったまま、まだ小5だったトオルの手を握り、精一杯の笑顔で励ましてくれた。
(こんな時に夢に出るなんて、お迎えかよ!)
病室のドアがノックされた時、うっすら涙が出ているのに気づき、慌てて手でこすった。
ーーートオル!わかるか!?
ーーー救急車!!
(誰だ?人が気持ちよく寝ているのに…)
トオルは自分の体が突如ふわりと浮いた感覚で、目を覚ました。
随分寝たな…、と思ったが、それはほんの数分のことだったようだ。
バタバタと慌しい喧噪を感じながらも、また瞼が落ちそうになったところで、耳をつんざくようなけたたましいサイレンがそれを妨げた。
「大丈夫ですか?名前言えますか?」
白いヘルメットを被った、知らない男が自分に呼びかけている。
(ここは?…救急車…か?)
ぼんやりとした頭の中で、徐々に記憶が蘇ると同時に、左足に鈍い痛みを感じた。
(ああ。あのシュートの時、か)
自分よりも一回り体格の良い相手チームの選手が、自分を徹底マークしていた。
これを入れれば逆転、という場面で、トオルがダンクシュートをねじ込もうとジャンプした瞬間、体当たりでブロックされた。
(気を失ってた?…てことは頭打ったのか?)
すぐに冷静な思考が戻り、途中退場となった無念と、「生きてた」という安堵の気持ち、そして、疲れが一気に襲ってきて、また目を閉じた。
(トオルはバスケが上手だね~)
(シュート、カッコよかったよ!)
(あなたは母さんの自慢の息子よ。愛してる!)
久しぶりに夢に現れた母は、あの時のままで美しかった。
トオルがミニバスを始めたばかりの時、上手くできない歯痒さで、母親によく当たった。そのたびに、母はトオルを膝にのせ称賛の言葉を浴びせた。
「トオルはまだまだ上手くなるよ。母さんが言うんだから間違いない!」
死ぬ間際も、病室のベッドで横たわったまま、まだ小5だったトオルの手を握り、精一杯の笑顔で励ましてくれた。
(こんな時に夢に出るなんて、お迎えかよ!)
病室のドアがノックされた時、うっすら涙が出ているのに気づき、慌てて手でこすった。