きみのためならヴァンパイア
……紫月に訊きたいことは、たくさんあったはずだけど。
これ以上、私から進んで詮索したくはない。
答えあぐねていると、紫月が先に口を開いた。
「ないなら俺が訊くけど、なんでカプセル持ってたんだよ」
想定外の質問に、これ以上ないほど動揺してしまった。
「えっ! こ、これは、なんかほら、お守り代わりっていうか……実際、役に立ったでしょ?」
紫月のことが好きだから血液を持っていたかったとか、本人に言えるわけがない。
「俺の血がお守り代わり? へぇ、お前、俺のこと好きなの」
……わざわざ言わなくても、バレバレだったみたい。
「ーーっ、だ、だから、す、好きだって……」
「ふっ、素直じゃん」
「……いじわる」
紫月が頬を緩めた顔を見ると、安心する。
……紫月が、私の横でそうしてくれるなら。
過ぎたことばかり気にするんじゃなくて、前を向こう。
紫月の隣で、胸を張れるように。
そんな決意をして、少しだけ気分が上を向いたとき。
視界に捉えたものによって、一気に私の心に不安が満ちることとなった。
「っ、な、なにーー?」