きみのためならヴァンパイア
女の人も含めて四人のヴァンパイアを、一人で相手にしたなんて。
それも、痛めつけただけで、銀の弾丸を使っていない。
……ハンターの目的は、ヴァンパイアに銀の弾丸を撃ち込んで人間に変えてしまうことだ。
そうなると、女の人たちに危害を加えた何者かはハンターじゃない可能性が浮かぶ。
でも、ハンターでもないのにヴァンパイア相手にここまでやる一般人もなかなかいないだろう。
そこまで考えたとき、ふと思い浮かんだ。
ヴァンパイアをただ痛めつけるだけなんてひどいことをしそうなハンターを、私は知っているじゃないか。
私が悪い想像をしている間に、紫月は日向に倒れた男の人をみんなの元に運んできた。
「ありがとう。私だけじゃ連れてくるのも大変で……」
「そのハンター、何が目的だった?」
「うーん、どこかに向かう途中みたいだったけど……あとは、ヴァンパイアが嫌いとは言ってたわ」
「……ハンターだしヴァンパイアは嫌いだろうな」
「そうなんだけど、ちょっと異常っていうか……見下してる感じーーゴミを見るような目とでも言えば伝わるかな」
「……へぇ」
……異常なヴァンパイア嫌いの、ハンター。
私の悪い想像が、現実味を帯びていく。