【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。
(ラインヴァルトさまが教えてくださったのだもの。きっと、とても面白いんだわ)

 それを実感すると、今すぐにでも読んでみたいと思う。

 留守は預かっているけれど、本を読んでいても問題はない。彼も度々本を読んでいるし。

「誰も来ないときは、退屈ですからね」

 彼はなんてことない風にそう言っていた。だったら、私もこの近くにいれば本を読んでいても問題ないだろう。

 そう判断して、私はすぐそばにある椅子に腰を下ろす。そして、ぺらりと一ページ目をめくってみた。

 視線で文字を追う。おとぎ話というからには、明るいお話なのだろう。王子さまとお姫さまのお話とか、だと思う。

 最後はハッピーエンド。それが、お決まり。

 けれど、読み進めていくうちにその考えは間違っていると実感する。おとぎ話でも、これは多分大人向けだ。真剣に読まないと、上手く理解できないかもしれない――と思って、一度顔を上げる。

 時計の針は、あれから十五分ほど進んでいた。

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