【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。
「熱心に読んでしまったわ」

 短編だと言うのに、考察を始めると十五分では半分も読めなかった。

 でも、苦痛じゃない。むしろ、面白くて心がワクワクとするのがわかる。

(もう少し、読めるかしら?)

 いつ彼が帰ってくるかは、わからない。かといって、すぐに帰ってくる保証もない。

 ならば、もう少し読み進めよう――と思って、視線を下げて、図書館の扉が開いたのがわかった。

 司書の彼が戻ってきたのだろうか?

 そんな風に思って、顔を上げる。……自然と、息を呑んでしまった。

「あぁ、テレジア。こんなところにいたのか」

 彼が足音を立てて、こちらに近づいてこられる。かつかつと言う音が、やたらと不気味だった。

「どうした? そんな、幽霊でも見たような顔をして」

 ふっと口元を緩める彼に、私はどう返せばいいかがわからなくて。視線を彷徨わせて、言葉を探す。

「テレジア」

 そのお人が、私の前の椅子に腰かけた。……相変わらずというか、豪奢な衣装だった。

「ど、うして、ここに……」

 震える声でそう問いかける。すると、彼――ゲオルグさまは、にっこりと笑われた。

「テレジアに会いたくなったから、会いに来ただけだよ」

 ある種の恐怖を抱いてしまうような、穏やかなお声だった。

 だって、彼はいつだって私の前では不機嫌だった。それなのに、どうして……。

「テレジアが、王城に居候していると聞いたからな。……少し、顔を見に来ただけだ」

 ゲオルグさまは私のほうにぐいっとお顔を近づけてこられる。慌てて顔を後ろに引く。

 そうすれば、彼が私の手首を掴む。

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