【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。
「もう、私と関わらないでください。……あなたと私は、もう無関係です」

 はっきりとそう告げれば、ゲオルグさまが眉を上げる。かと思えば、露骨に舌打ちをされた。

 その音を聞いて、ぴくりと肩を跳ねさせる。

「ったく、下から出れば調子に乗る奴だな」

 低い声で、そうおっしゃるゲオルグさま。あれのどこが下から出たというのだろうか?

 なんていう疑問を口にすることはない。私は、余計な火種を蒔きたいわけではないのだ。

「まぁ、いい。……別にお前に用事があるわけじゃないしな」
「……さようでございますか」
「たまたま見かけたから、相手でもしてやるかと思ったのに。……全く、相変わらず可愛げのない女だ」

 ゲオルグさまはそれだけのお言葉を残して、場を立ち去った。

 ……彼が図書館から出て行くのを見て、ほっと息を吐く。何度か呼吸を整えて、倒れた椅子を元の位置に戻す。

 その後、何度か深呼吸。

(まさか、再会してしまうなんて……)

 油断していたのかもしれない。彼はもう私に興味なんてない。そう、思いこんでいた。

「……どうすれば、いいのかしら?」

 これが彼の完全な気まぐれならば、構わない。もう二度と関わらないのならば、この心配は杞憂に終わる。

 でも、もしも。もしも、彼が私と今後も関わろうとされてきたら……?

 そんな想像をすると、心臓が嫌な音を立てる。胸の前で手を握って、また息を吸って、吐いてを繰り返した。

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