【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。
 そうしていれば、図書館の扉が開く。ゆっくりとそちらに視線を向ければ、そこにはラインヴァルトさまがいらっしゃった。

「テレジア!」

 彼が、私のほうに駆けてこられる。

 それから、私の側に跪かれる。私の顔を覗き込まれて、その目に心配の色を宿されていた。

「なにか、あったのか? 顔色が悪いぞ」
「……い、いえ」

 ゆるゆると首を横に振る。

 なんだろうか。今、落ち着いた。

「ラインヴァルトさまのお顔を見たら、落ち着きましたから……」

 ぽつりと本音が零れてしまった。

 その言葉を聞いたためか、ラインヴァルトさまが目をぱちぱちと瞬かせていて。

 しばらくして、「そうか」と落ち着いた声で言葉をくださった。

「ですが、どうして……ラインヴァルトさまが、こちらにいらっしゃるのですか?」

 だって、彼は今は執務のお時間のはずだ。

 素朴な疑問を口に出せば、ラインヴァルトさまは「抜けてきた」とさも当然のようにそうおっしゃった。

「……それは」
「仕方がないだろ。……いろいろと、思うことがあってな」

 これ以上は、聞いても教えてくださらないだろうな。

 瞬時にそれを理解して、私は彼への問いかけをやめた。
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