【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。
「だから、なんでも話してくれ。……迷惑とか、そういうことは考えなくていい」

 不思議だった。

 どうしてか、彼のお言葉には私の心の硬い部分をほぐすような。そんな効力がある。

 それを理解しつつ、私は口をもごもごと動かした。……どう、お伝えすればいいか、わからなかったから。

「ゆっくりでいい。俺は、テレジアを苦しめたいわけじゃない」

 私の様子を見て、ラインヴァルトさまが落ち着くような声音で、そう続けてくださる。

 そのお言葉を聞いて、何度か深呼吸を繰り返す。

(だけど、ラインヴァルトさまだって、ゲオルグさまのことを出されれば、不快になられるわ……)

 彼はゲオルグさまのことがお嫌いのようだし……と思って、私は少しぼかして伝えることにした。

「……その、先ほど、なのですが」
「あぁ」
「会いたくない人に、出くわしてしまったのです」

 間違いじゃない。私はゲオルグさまと会いたくないと思っていた。だから、嘘じゃない。

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