【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。
「それで、少し……その、気持ちが、落ち込んでしまって」

 私のたどたどしい説明。ラインヴァルトさまは、急かすこともない。続きを促すこともない。

 ただじっと私の言葉を聞いて、支離滅裂な話を聞いてくださった。

「だから、心配されるようなことでは、ないのです。……これは、私の問題――」

 ――ですから。

 そう言おうとして、不意に手首を掴まれて、身体を引き寄せられた。

 驚いて目をぱちぱちと瞬かせる。気が付けば、私の身体はラインヴァルトさまの腕の中にあった。

「テレジアだけの問題じゃ、ないだろ」

 彼がちょっとした怒りを孕んだようなお声で、そう呟かれる。

「俺はテレジアが好き。いずれは、夫婦になりたいって思ってる。……ここまでは、わかる?」
「は、はい……」

 それは、何度も何度も聞いたので……。

 心の中でそう付け足しつつ、私はラインヴァルトさまのお言葉の真意を探る。

 けど、私がどれだけ想像しても、答えは出てこない。

「……俺からすれば、夫婦っていうのは助け合うものだと思う」
「……はい」
「だから、俺はテレジアを助けたい。なにか辛いことがあるのならばしっかりと話を聞きたい。……それが、俺の望みだ」

 彼のお言葉の意味を、ようやく理解した。

 彼は、私の力になりたいとおっしゃっているのだ。……こんな、真面目しか取り柄のないような女の……。

「……その、あの、ですね」
「あぁ」
「せ、せめて、少し離れてくださいませ……!」

 が、今はそれどころじゃない。彼に抱きしめられているという現実だけで、私の心臓が破裂しそうなほどにうるさいから。
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