愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。
第4話
 あの日以来。私とラインヴァルトさまの距離は、また一歩縮まったように思う。

 彼は私と会うたびに抱きしめてくださって、「好き」と愛を告げてくださる。それが嬉しくて、心地よくて。

 私も彼の気持ちに答えたい……そんな感情が、芽生えてくる。だけど、そうもいかない理由がある。

(せめて、私は彼に相応しくなりたい)

 気持ちが惹かれて、ラインヴァルトさまのほうに傾いていたとしても。

 今の私じゃあ、彼には釣り合わない。相応しくない。

 だから、私はせめて彼に相応しくなって、そのときに「私も好きです」と返したい。

 その一心で、私は王太子妃になるための教育の基礎勉強に取り組んでいた。

 王太子妃になるべく教育は、今まで受けてきた公爵夫人になるための教育とは全然違った。

 でも、ある程度は通じるところがあって。私は、そこまで苦痛もなく受けることが出来ている。元々勉強が嫌いじゃないのも、関係しているとは思う。

 この日も、半日の授業を終え、教師を見送った私は大きく伸びをしていた。

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