【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。
「王妃殿下は、お優しくおおらかなお方でございます。そんな……」
「俺はあの人の本質を知っているからな。……一筋縄ではいかない、ひねくれた奴だ」

 まるで、本当に忌々しいとばかりに。彼がそう零される。

(そりゃあ、王家に嫁がれ、王妃としてやっていっているのだもの。多少は……そういうところはあるでしょう)

 王妃なんて、清廉潔白なだけではやっていけない。時には残酷な決断をし、曲者だらけの貴族とやっていかなくちゃならない。

 ……あと、国王陛下である夫の側室さまとも、上手くやっていかなくちゃならないのだ。

「たとえ、そうだったとしてもです。……私は、挨拶しとうございます」

 心の底からの言葉を、ラインヴァルト殿下にぶつける。

 すると、さすがの彼も呆れられたのか、ため息をつかれた。

「そこまで言うのなら、俺が止める意味もない。……ただ、気を付けておけ。本当にあの人は――危険人物だ」

 何処か遠くを見つめたラインヴァルト殿下のお言葉を、このときの私は――深く、捉えていなかった。
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