【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。
「……本当に、会うのか?」
「はい」

 この一時間で、一体何度このやり取りをしたのだろうか。そう思いつつ、私は頷く。

「なにかあれば、容赦なく話は切り上げるからな」

 彼は私にだけ聞こえる声量でそう言葉を発し、目の前の扉をノックする。

 しばらくして、「どうぞ」という凛とした女性の声が聞こえてきた。

 ちらりとラインヴァルト殿下の横顔を見つめる。先ほどの何処となく不安そうな表情は消えており、きりりとした表情を浮かべられている。……心臓がぎゅっとつかまれたような感覚だった。

(って、ダメよ。こんなこと、思っては……)

 軽く頭を横に振っていれば、ラインヴァルト殿下が扉を開けられる。

「ラインヴァルト、よく来てくれたわね」

 お部屋の奥にある執務机。そこの前に腰掛けていた一人の女性は、立ち上がってこちらに近づいてくる。

 彼女はきれいな銀色の髪を美しく結い上げている。吊り上がった形をしているその青色の目は柔和に細められ、私たちを見ている。

(……王妃、殿下)

 いろいろなところで拝見することがあるので、王妃殿下のお顔は頭の中に焼き付いている。

 そして、この女性のお顔は――まさしく、私の頭の中に焼き付いている王妃殿下そのものだった。

「本当に久々だわ。あなたったら、帰国後ちっとも会ってくれないんだから……」

 王妃殿下は、頬に手を当てつつ困ったように笑われた。その仕草は、同性である私でも見惚れてしまいそうなほどに似合っている。

 ちらりと隣に立たれるラインヴァルト殿下を見つめる。彼は、険しい表情をされていた。

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