【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。
「あぁ、そうだわ。わたくしも自己紹介をしなくては。ラインヴァルトの母親のアデルハイト・ヴォルタースよ。今後よろしくね、テレジアさん」

 にこやかな笑みを崩さずに、王妃殿下は自己紹介をしてくださった。でも、彼女はしばらくして表情を曇らせた。

「……こんなことを言うのは、なんなのだけれど」
「は、い」

 なんだか、空気が悪いような気もする。王妃殿下のお顔を見つめると、困ったような表情を浮かべられていた。

「あなたの身に起きたことは、わたくしの耳にも入っています」
「……そ、れは」

 多分、ゲオルグさまとの婚約破棄の件だろう。むしろ、それしかない。

 喉がカラカラに渇くのがわかった。……どういう風に、言葉を紡げばいいかがわからない。

「わたくし個人としてはともかく、王家としての面目があるのです。きっと、あなたを王家に入れることを反対する輩も多いでしょう」

 ……正直なところ、私はラインヴァルト殿下と結婚するつもりはない。

 が、今、そんなことを言える空気じゃなった。視線を下げて、王妃殿下のお言葉を待つ。

「だけど、大丈夫よ。……わたくしは、あなたの力になりたいわ」
「……え」

 目をぱちぱちと瞬かせる。王妃殿下は、またにこやかな笑みを浮かべられていた。

「だって、この子がこんなにも必死に捕まえようとしているんだもの。親として応援するのは、当然でしょう?」
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