【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。
「じゃあ、こうしよう。俺にとって、テレジアは最高に可愛い」
「……え、えっと」
「人には好みがある。俺の好みにぴったりなテレジアは、俺にとっては最高に可愛い。これでどうだ?」

 ……確かに、それならばまだ信じられる……かも、しれない。

「ら、ラインヴァルト、殿下……」

 恐る恐る彼のことを呼べば、彼がゆるゆると首を横に振った。そして、ぐいっと私の顔に自身のお顔を近づけてくる。

 その整った顔が視界いっぱいに広がって……目を回してしまいそうになる。

「俺のこと殿下って呼ばないで」
「……ラインヴァルト、さま」

 もう少し距離を置いてほしくて、私は慌てて呼び方を戻す。彼は、満足げに頷いていた。

「これから、殿下って呼んだらなんかするかも」
「え、えぇえっと」
「それが嫌だったら、きちんと気を付けろよ」

 なんともまぁ、上から目線のお言葉だ。が、私が反論できる立場ではないので、こくこくと首を縦に振る。

 その後、しばらく二人で並んで中庭の花々を眺めた。……ぼうっとしながら、他愛もない言葉を交わす。

「テレジアは、どんな花が好きなんだ?」

 ふとそう問いかけられて、私は考えた。……お花はどれでも好きだから、特別なものなんてない。

 ただ、あえて言うのならば……。

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