【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。
「私、桃色のバラが好きなのです」

 ぽつりと、そう言葉を零す。

「特に小ぶりで可愛いものが、好きです。……私には、似合いませんが」

 苦笑を浮かべてそう付け足せば、ラインヴァルト殿下……いや、さまは「そうか」と呟かれた。

「だけど、テレジアにはなんでも似合うよ。……だって、素材がいいから」

 どうして、このお方は。こんなにもスマートに甘い言葉を囁けるのだろうか。

 ちょっとの疑問を抱きつつ、肩をすくめる。ちょっと、困ってしまう。

「じゃあ、テレジアと結婚したら、部屋に桃色のバラを飾ろうな」
「……そう、ですね」

 正直、そんな未来があるとは思えないけれど……。

 でも、彼のお言葉が私は本当に嬉しくて。自然と笑ってしまう。

(このお方に、惹かれてしまいそう……)

 惹かれてはいけないとわかっているのに。……このままだと本気でこのお方に淡い恋心を抱いてしまいそうだ。

 そんなの、無駄なのに。

「……テレジア」

 そう思っていると、不意にラインヴァルトさまの手が私のほうに伸びてくる。驚いていれば、彼の手が私の頭に触れた。

「ははっ、こんなのついてた」

 彼が私に手の中のものを見せてくれる。そこにあるのは、青々とした葉。……どうやら、すぐそばにある木から落ちてきたらしい。
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