【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。
 それからの日々は、割と穏やかだった。両親は不気味なほどに私に接触しようとはせず、私は王城でのんびりと居候させてもらっている。ラインヴァルトさまは一日に三度ほど私との時間を作ってくださり、留学先の国のお話をしてくださる。

 そのお話が面白くて、私はひそかに彼と過ごす日々を楽しみにしてしまっていた。……いつか、ここを出て行かなくてはならないことも、忘れて。

「……パーティー、ですか?」

 私が王城に居候を初めて、一週間近くが経った日のこと。

 私は王妃殿下に誘われて、中庭で彼女とお茶をさせていただいていた。なんでも、普段は一人で寂しいということだ。

「えぇ、そろそろラインヴァルトの帰国祝いのパーティーを開く予定なの」

 穏やかそうに笑った王妃殿下のお言葉に、無意識のうちに表情が引きつったような気がする。

 ……だって、そうじゃないか。

(お祝いのパーティーで、私が彼の隣に並ぶことなんて出来ないわ……)

 そもそも、「好き」とか言われても、婚約しているわけでもない。合わせ、彼には数名の婚約者候補のご令嬢がいると聞いている。多分、その中から筆頭の女性をエスコートすることになるのだろう。

 何故か、胸の奥底がチクっと痛んだ。

「なのに、ラインヴァルトったら。そんなもの必要ないっていうのよ」
「そ、うなのですか」

 微かに頬を膨らませた王妃殿下のお言葉に、私は冷静に言葉を返せているのだろうか。ちょっと、不安。

「だから、ね。テレジアさんからも、参加するように説得してくださらないかしら? きっと、あなたの言葉なら、耳を貸すと思うのよ」

 そうおっしゃる王妃殿下の表情は、駄々をこねる子供に困っている親のようだった。

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