【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。
 いや、それは間違いない。ラインヴァルトさまは、王妃殿下にとっては実の子供なんだもの。

「そもそも、王太子になったのだから、少しは自身の立場をわきまえてほしいものだわ」
「そ、うですね」

 彼女のお言葉に、私は曖昧に頷いて、相槌を打つ。上手い返しは、これっぽっちも思いつかなかった。

 頭の片隅に、ほかの女性をエスコートするラインヴァルトさまの姿が浮かんで、柄にもなく傷ついてしまう。

 あんなにも私に「好き」って言ってくださったのに……。

 そんな醜い気持ちが胸の中に芽生えて、消えてくれない。

(強欲、なのよね)

 だって、そうじゃない。彼が側にいるだけで、私は十分だ。

 たとえ妻になれなくても。たとえ、彼が別の女性と添い遂げても。私は笑みを浮かべなくちゃならない。

 遠くから、彼のことを祝福するのが、私の使命。

(けど、なんだか、嫌かもしれないわ……)

 別の女性に彼が愛を囁くのだと思ったら、チクチクと胸が痛い。自然と胸元を押さえていれば、王妃殿下が「テレジアさん」と私の名前を呼ばれた。ハッとして、顔を上げる。

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