【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。
 王妃殿下とのお茶を終えて、私は王城の廊下を歩く。

 最近では数名の使用人と、軽く言葉を交わす程度になった。

 ただ、元々引きこもりがちだった私には、人との距離感がいまいちつかめないのだけれど。

(もう少し、交流をしたほうがいいのかも……)

 でも、上手く人と会話が出来るかどうか……。

 そんなネガティブなことを考えて、無意識のうちに凹んでしまう。……けど、凹んでばかりじゃいられない。

(だって、王城から出て行くことになったら、私は一人で生きて行かなくちゃだもの……)

 自分自身に、そう言い聞かせた。そう、私は――いつまでも、ここにいられるわけじゃない。

(ラインヴァルトさまの、輝かしい未来の邪魔にはなりたくないもの……)

 それは、正真正銘の本音。彼の足かせになるくらいならば。私は、ここを出て行くつもりだから。

「……よし、きちんとしなくちゃ」

 自らを鼓舞するみたいにそう呟けば、肩をとんっとたたかれた。驚いて口から息が漏れる。

 慌てて振り返れば、そこには輝かんばかりの美しい笑みを浮かべた、ラインヴァルトさまがいた。

「テレジア。……元気か?」

 彼はなんてことない風に尋ねるけれど、朝も会ったばかりなのだ。今日は昼食は一緒に摂れなかったけれど、夕食は一緒だと聞いていたし……。

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