【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。
「そ、その、いきなり、肩をたたかないでください……」

 少し困ったように笑って、私はそう抗議する。ラインヴァルトさまは、「ごめんごめん」と言って笑っていた。

 これっぽっちも、謝る気なんてないだろう。それを、悟る。

「テレジアが、あんまりにも真剣に考えこんでるからさ。……声、かけられなかったんだよ」
「そ、そう、ですか……」

 それは、私が悪い。そう思って「申し訳ございません」と謝罪の言葉を口にすれば、彼は私の頭をポンポンとたたいてくれた。

「別に、謝ってほしいわけじゃない。……ただ、従者の奴にテレジアが母上と一緒にいたという話を聞いてな」

 ラインヴァルトさまの表情が、一気に険しくなる。

 その表情を見ていると、頷くのをためらってしまった。だけど、頷かないのは不誠実だ。それに、真実だし……。

「は、はい。王妃殿下にお誘いしていただいて、お茶をしておりました」
「そうか」

 彼はそう言葉を零す。……なにか、不都合なことでもあるのだろうか?

「なにか、言っていたか?」

 ラインヴァルトさまが、そう問いかけてくる。……なにか、言っていた。

「今度、ラインヴァルトさまの帰国祝いのパーティーを開くと、聞きました」

 記憶にある限り、それが一番の重要事項だったと思う。

 目を伏せて小さな声でそう言えば、ラインヴァルトさまが息を呑んだのがわかった。

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