【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。
(それに、私はともかくラインヴァルトさまをバカにするのは許せないわ……)

 ぎゅっと手のひらを握って、私は俯く。

 そんな私を、面白くなさそうに見つめる彼女。かと思えば、大きくため息をついた。

「あのね、言っておくけれど、私は親切心で言っているのよ?」

 ……親切心で、こんな言葉が出てくるわけがない。

 そう思うのに、やっぱり口から言葉が出ない。

「あなたには王太子妃は荷が重いのよ。……やっぱり、私が王太子妃になるべきなのよ」
「そんなの、決めつけないで、ください……」

 ようやく出たのは、弱々しい抗議の声。ぎゅっと唇を結んでいれば、彼女が一瞬だけぽかんとしたのがわかった。

 が、すぐに見る見るうちに顔を赤くする。

「言っておくけれど、これには私の気持ちなんて入っていないのよ? 周囲が私に王太子妃になれって言うから、言っているだけ。あなたに立場を弁えさせようとしているだけよ」

 迷惑だった。それに、周囲を出すなんてズルい。

 心の中だけでそう呟く私に、彼女は意外過ぎる言葉を吐き捨てた。

「私は、王妃殿下に選ばれたのよ! 王太子妃になるのは、あなただって!」
「……え」

 頭の中が真っ白になる。……彼女が、王妃殿下に選ばれた? すぐに言葉が、理解できなかった。
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