【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。
 ぽかんとする私が面白かったのか、彼女は唇の端を上げた。

「あら、聞いていないの?」

 明らかに挑発されている。それはわかるけど、なんだか無性に胸の奥がもやもやとして。

 視線を彷徨わせて、唇を震わせることしか出来ない。

「まぁ、いいわ。どちらにせよ、ラインヴァルト殿下と結婚するのはこの私。……せいぜい、捨てられないように足掻くことね」

 ころころと笑う彼女は、可愛らしい。けど、何処となく怖くも見えてしまう。

(……きっと、なんらかの行き違いよ)

 だって、王妃殿下は私のことを応援してくださるって……。

 そう思った。でも、どうしてなのか。……王妃殿下のお言葉が、嘘くさく感じてしまう。そんなわけないのに。

(そうよ。だって、王妃殿下は国でも人気の高い素晴らしい女性だもの……)

 きっとこれは。この女性が私を動揺させるために言ったことなんだ。

 自分自身にそう言い聞かせて、私は顔を上げる。恐る恐る見つめれば、にっこりと笑った。

「あの……」
「なぁに?」

 ちょっとためらうように声をかければ、彼女は小首をかしげた。

 ……正直、沈黙が辛くて声をかけただけなので、なにを話そうか決めていない。

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