【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。
「ま、まぁ、いいわね? ラインヴァルト殿下と婚姻するのは、この私。……この決定事項は、覆らないのよ」

 コルネリアさまはそれだけを言い残されると、颯爽と場を立ち去られる。かつかつとヒールを鳴らして歩く姿は、さすがは侯爵家のご令嬢と言うべきか。とても美しくて、見惚れてしまう。

(だけど……今は、そんなことよりも)

 そもそも、コルネリアさまのおっしゃることが正しいのならば。王妃殿下はいつそんなことをおっしゃったのだろうか。

 もしも、私が来るよりも前だったら……それはまぁ、おかしなことじゃないと思う。でも、私が来てからだったら?

(コルネリアさまのあの態度からして、後者みたいよね……)

 あの自信満々な態度を見ていると、そう思ってしまう。それに、彼女は明らかに私に喧嘩を売りに来ていたし。

 ということは、王妃殿下から私のことを聞いて、喧嘩を売りに来たのでは……?

(ううん、考えすぎよ。……ただの気のせい。勘違い。もしくは、行き違い)

 自分の頬を軽く叩いて、私は人気のある廊下のほうへと戻るために足を動かした。

(……でも、コルネリアさまのほうがラインヴァルトさまに相応しいのは……間違い、ない)

 彼女は侯爵家のご令嬢だし、私みたいにキズモノじゃないし。

 そう思ったら、なんだか無性に苦しくなる。私が、私じゃないみたいだった。

 こんな気持ち、ラインヴァルトさまに出逢うまで、抱いたことがなかったから。
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