【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。
 そう思いつつも、じっと押し黙り続ける私。

 そんな私を見たコルネリアさまは、まるで面白くないとばかりに一瞬だけ表情を歪める。

 多分、彼女が期待していたのは。私が感情的になることだったのだろう。それを察しつつ、私は唇を結ぶ。

「コルネリアさま。テレジアさまは、きっと真実だから言い返せないだけでございますわ!」
「えぇ、そうです! こんな人よりも、コルネリアさまのほうがラインヴァルト殿下に相応しいですわ!」

 同じテーブルにつくご令嬢たちが、そう声を上げる。きっと、気まずい空気をなんとかしようとしたのだろう。それに、ここで一番の権力者はコルネリアさまだ。彼女の味方をするのはある意味正しい。

(ダメよ。感情的に、なってしまっては……)

 いつだって冷静でいるのが貴族の令嬢の美徳だから。ゆっくりと目を瞑って、何度か呼吸を整える。

 そうしていれば、周囲がざわついたのがわかった。

「まぁ、ラインヴァルト殿下よ……!」

 一人のご令嬢が、そう声を上げた。驚いて、私は顔を上げる。……だって、このお茶会には。ラインヴァルトさまは参加されないはずだったもの。

 慌ただしく視線を動かして、ラインヴァルトさまのお姿を捜す。そして、少し離れた場所に彼の姿があった。

 ラインヴァルトさまは、当然と言うべきか。人に囲まれている。……近づくのは、少し無理かも。

< 81 / 175 >

この作品をシェア

pagetop