捨てられ令嬢ですが、一途な隠れ美形の竜騎士さまに底なしの愛を注がれています。
「だからって、私が住むなんて……」

 いろいろな意味で申し訳ないし、危ないだろうし……。いや、彼のことを信用していないというわけじゃない。

 ただ、見知らぬ人との共同生活が不安っていうだけで。

「……これは、ただ困っているあなたを見過ごせないだけです。……そもそも俺、騎士ですし」
「は……?」

 彼がそっぽを向いて口走った言葉に、驚いてしまう。……騎士、騎士!? この風貌で!?

(き、騎士って、もっとほら……かっこいい人がなる職業じゃん……)

 偏見が過ぎるとは、私でも思う。ただ、厳しい訓練があるため自然と身体が引き締まって、見栄えもよくなるように容姿も磨く。それが、一般常識っていうか……。

「まぁ、その。ちょっといろいろあって、今は休職中なんですが」
「……そう、なのですか」

 そう言った彼は、上着の内ポケットを探った。そして、彼は身分証明書らしきものを取り出す。

 そこには、『竜騎士:ヴィリバルト』と書いてあった。……本当に、騎士なんだ。意外過ぎて開いた口がふさがらない。
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