捨てられ令嬢ですが、一途な隠れ美形の竜騎士さまに底なしの愛を注がれています。
「わ、私、ドラゴンに憧れているんです……!」
「……ドラゴンに、ですか?」

 少し驚いたように言葉を返された。そのため、私はこくこくと首を縦に何度も振る。

「はい! 幼い頃、偶然竜騎士の訓練を見学出来て。そのときの竜騎士の方にドラゴンと交流させてもらったのです」

 あれは、私にとってとても大切な思い出だ。

 竜騎士の訓練を見学できたのは、本当に偶然だった。兄が竜騎士に興味があったので、両親が必死に頼み込んだのだ。結果的に私もお供として連れて行ってもらえることになり、そこで出逢ったドラゴンに圧倒された。

「あれ以来、私、本当にドラゴンの虜で……」

 正直、ドラゴンに憧れるのは圧倒的に男が多い。だからなのか、両親には渋い顔をされていた。けど、私の中のドラゴンへの憧れは、色あせることはなく。ずっと、ずっと間近でドラゴンと交流したいと、願い続けていたのだ。

「そのバカにされることを承知のうえで言うのですが、私、将来ドラゴンと暮らしたくて……」

 両親に幼い頃に語った夢。彼らは「バカを言うな」と蹴り飛ばしたけれど、私にとっては大切な大切な夢。

「そうですか。……別に、バカにするつもりはありませんよ」

 私の言葉を聞いたヴィリバルトさんは、特に気にした風もなく口元を緩めていた。

< 17 / 65 >

この作品をシェア

pagetop