捨てられ令嬢ですが、一途な隠れ美形の竜騎士さまに底なしの愛を注がれています。
「……なんだか、面白いですね」

 ふと、彼の口からそんな言葉が零れた。驚いて顔を上げれば、彼はプイっと顔を背けてしまう。

「変な意味じゃないですよ。……なんていうか、あなたとこうして話しをしているのが、楽しいっていうか」
「……楽しい、でしょうか?」

 私と話していて楽しいなんて言われたこと、今まで一度もない。

 その所為でちょっと戸惑う。でも、ヴィリバルトさんは口元を緩めていた。

「えぇ、とっても楽しいです。俺は、ですけど」

 なんだかちょっと自嘲気味な言葉だった。そのため、私は「私も、楽しいですよ」と言っていた。

「ヴィリバルトさんって、なんか不思議なお人ですし。……なんか、話していて気が楽っていうか」

 変に気を遣わなくてもいいっていうか……。

 あ、もちろん悪い意味じゃない。

「なんだか、新鮮です……」

 小さくそう言葉を零す。思えば、異性とこんな風に話したことも過ごしたこともなかった。

 ……だから、なんだか。無性に楽しく思ってしまう。
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