捨てられ令嬢ですが、一途な隠れ美形の竜騎士さまに底なしの愛を注がれています。
「あぁ、メリーナさん。お部屋に戻るとして、先ほどのお部屋の場所はわかりますか?」

 場を立ち去ろうとした私を見て、ヴィリバルトさんがハッとして声をかけてくる。

 ……ちょっと、怪しいかもしれない。

「わからないのならば、俺もついていきます。あと、何処になにがあるとかも、説明したいので」
「……ご迷惑では?」
「いえ、いいんですよ。もちろん、後から聞いてくださっても全然大丈夫です」

 ……この人、親切過ぎないだろうか?

(逆になんか心配になってくるんだけど……)

 この人がいつか悪い人に騙されるんじゃないか。そう思ってしまうのは、ある意味仕方がないことだと思う。

「じゃあ、その。……お願い、します」

 私がここにいる以上は、せめてこの人を守りたいと思う。……余計なお世話だと思うけれど。
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