捨てられ令嬢ですが、一途な隠れ美形の竜騎士さまに底なしの愛を注がれています。
 買い物に行くためのリストアップを終えた私は、すっかり暇になっていた。

 ソファーに腰掛けて足をばたつかせつつ、なにをしようかと考える。昼食の時間にはまだ早いし……と思っていると、部屋の扉がノックされた。

「はぁい」

 のんびりとした声で返事をすると、扉が開いてヴィリバルトさんが顔を覗かせる。

「すみません、少し時間はありますか?」

 彼が申し訳なさそうにそう問いかけてくる。……時間はあるどころか、ありあまっている。

「はい、むしろ、暇でした」

 苦笑を浮かべてそう言えば、彼は口元を緩めてくれた。

 そして、頬を掻く。

「じゃあ、少し付き合ってくれませんか」
「……えっと」
「この後、俺のパートナーの竜の様子を見に行くんですが……。一応、紹介したほうがいいかと思いまして」

 ……竜、ドラゴン。

「行きます!」
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