捨てられ令嬢ですが、一途な隠れ美形の竜騎士さまに底なしの愛を注がれています。
「ふわぁぁ」

 思わず間抜けな声をあげた。

 ヴィリバルトさんは私に温かい視線を向けたあと、重そうな扉に手をかける。

「――」

 なにかを唱え、取っ手を握る。

 すると、ごぉぉと地鳴りのような音を鳴らし、扉が開いていく。

 一分もする頃には、扉は大きく開かれていた。

「さぁ、行きましょう」

 ヴィリバルトさんが私に手を差し出す。迷った末に彼の手を取って、私は建物の中に入った。


 建物内の空気はひんやりしていた。

 つい周囲をきょろきょろ見渡してしまう。

「ここは段差が多いので、気を付けて」

 私は素直にうなずいて、彼のあとに続いていく。

 少し歩くと、視界の奥になにか巨大なものが見えた。丘のようにも見えるけど、あれはきっと――。
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