捨てられ令嬢ですが、一途な隠れ美形の竜騎士さまに底なしの愛を注がれています。
 ドラゴンをここまで間近に見たのは、はじめて。……すごい、すごい!

「あの、私も触ってみていいですか?」

 控えめに問いかけてみると、ヴィリバルトさんは驚いたように口を開けた。心なしかギードさんも驚いているように見える。

「お前、根性があるな。初対面のドラゴンに触れてみたいなど……」
「昔から、憧れていて。……好きで、たまらなくて」

 それを両親はよく思わなくて、散々馬鹿にされた。それでも、この気持ちはずっと変わっていない。

「女の子がドラゴンに興味を持つな――なんてたくさん言われました。だけど、好きな気持ちはずっと昔から変わっていません!」

 つい身を乗り出すと、ヴィリバルトさんに止められてしまった。これ以上前に行くなということらしい。

 確かに、ドラゴンの攻撃力はすさまじい。ちょっとした戯れでも、人間にとっては大怪我につながるのものだ。

「怪我をしても知らんぞ」
「そこは自己責任ですから」

 怪我をした場合、悪いのは注意を怠った私だ。ギードさんはなにも悪くない。

 私の熱意に押されたのか、ギードさんは小さくため息をついて、脚を前に出してくれた。
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