捨てられ令嬢ですが、一途な隠れ美形の竜騎士さまに底なしの愛を注がれています。
 手を伸ばして、うろこに触れてみる。うろこの一枚一枚は大きくて、予想以上に硬かった。

(うろこ自体もすっごくきれい! キラキラしているっていうか)

 窓から差し込む光を浴びて、うろこは美しく輝いていた。同時に、私の瞳もキラキラしているはず。

「いつまで触っているつもりなんですか」

 あまりにも長い間触れていたためか、ギードさんがあきれたような声を出す。

 でも、念願のドラゴンに触れているのだ。もうちょっと、もうちょっと――。

「メリーナさん。すみませんが、そろそろいいでしょうか?」

 私の肩にぽんっと手を置いたのはヴィリバルトさんだった。

「ギードさえよかったら、また今度触らせてもらいましょう」

 ヴィリバルトさんはそう言うけど、私は納得できない。眉尻を下げていると、ギードさんは翼を広げた。

 大きな翼にあっけに取られている間に、ギードさんが脚を引き抜いてしまう。

「……私としては、また来てくださって構いませんよ。ただし、一日一回にしてください」
「毎日来てもいいってことですか?」
「……私も暇なものでね」

 多分、妥協するほうが早く終わると思ったのだろう。だけど、それでいい。

 言質が取れたのだから、今はこれで十分。

「じゃあ、また明日来ますね!」

 ギードさんに向かって笑いかけると、なぜか隣からため息が聞こえてきた。

 ……どうして?
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