捨てられ令嬢ですが、一途な隠れ美形の竜騎士さまに底なしの愛を注がれています。
第3話
 私がヴィリバルトさんの邸宅に居候をはじめて、二週間が経ち。

 私はゆっくりとだけど、この生活に適応することができていた。

 朝食を済ませ、食器を片付ける。まだ料理はできないので、私の担当はほとんど後片付けだ。食器を洗って水気を拭きとった。

「そろそろ一度買い出しに行ったほうがいいかもしれません」

 冷蔵庫の扉を閉め、彼がつぶやく。

「ただ、今日は一日予定があって。……行けそうにないんですよね」

 続けて彼は首を横に振る。

 私は食器を棚にしまいつつ、少し考えてみる。

 最近、私はこの生活に慣れてきた。一人で買い物くらいできる……と思う。

「じゃあ、私が一人で買い出しに行きましょうか?」

 お店の人たちとも何度か会っているし、聞けばいろいろと教えてくれるはず。

 そりゃあ、不安がゼロというわけじゃないけど……。

「完璧とは言えませんが、買い物くらいなら――」
「ダメです!」

 最後まで言うよりも先に遮られた。驚いて瞬きを繰り返すと、彼ははっとして頭を下げる。

「すみません。ただ、やっぱりダメです」
「……どうしてですか?」

 そんなに私は信用できない?
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