イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない


「いいか? 学校で男に声をかけられても、絶対について行ったらダメだぞ!?」

「分かったよ」

「高校生の男子はみんな、オオカミなんだからな!?」

「はいはい」

「ああ、俺も依茉と同じ花城学園だったなら、近くで守ってやれるのに……!」


 悔し顔のお兄ちゃん。


 お兄ちゃんも、中学はわたしと同じ花城学園に通っていたのだけど。


 わたしが花城学園の中等部に入学した年にお父さんが病で亡くなり、母子家庭となってからは、少しでも家計を助けたいとお兄ちゃんは中学を卒業後は公立の高校に進学した。


 大好きだったバスケも辞めて、その分今は一生懸命アルバイトを頑張っている。


「何だかごめんね? わたしだけ、高校も花城学園に行かせてもらっちゃって……」


 花城学園高等部のバスケ部は強豪だから、本当はお兄ちゃんも行きたかったはずなのに。


「なに急に謝ってんだよ。依茉は何も気にせず、今日からの高校生活を思いきり楽しんだら良いんだよ」


 お兄ちゃんが、わたしの頭をわしゃわしゃと撫でてくる。


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