イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない
それからしばらくしてホームにやってきた満員電車に乗り込み、揺られること20分。
花城学園の最寄り駅に到着。
「それじゃあな、依茉! まじで、気をつけるんだぞ!? 何かあったら、兄ちゃんに連絡……」
お兄ちゃんが、電車の扉の近くで何かを言ってたけど。
言葉の途中で扉がバタンと閉まり、電車はゆっくりと動き出す。
「ほんと、お兄ちゃんは昔から心配性というか。何と言うか……」
心配しなくても、わたしはもうしばらくは恋愛なんてするつもりはないし。男の子とも、必要最低限しか関わる気はないから。
安心してね、お兄ちゃん。
わたしはお兄ちゃんの乗った電車を、手を振りながら見送った。