イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない
最寄り駅から、歩くこと15分。
まるでヨーロッパのお城のような、花城学園の大きな校舎が見えてきた。
わたしが歩いていると、すぐそばを白の高級車が通り過ぎていく。
わたしが中等部から通っている花城学園は、世間でも有名な私立の進学校で、政治家や大企業社長のご息女も通うような、いわゆるお金持ち学校だ。
わたしは庶民の娘だけど、亡くなったお父さんが教育熱心で。お兄ちゃんやわたしが幼い頃から、将来は由緒ある花城学園に入って欲しいと常々言っていた。
だからわたしはお父さんの想いに応えようと必死に勉強し、一般入試でこの学園に入ったのだった。
「あっ、依茉ちゃーん!」
「きゃ!?」
わたしがゆっくりと歩いていると、突然誰かに後ろから思いきりハグをされる。