イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない


杏奈(あんな)!?」


 後ろを振り向くと、わたしに抱きついてきたのは、中等部からの友達の東野(ひがしの)杏奈だった。


「おはよ〜! 依茉ちゃんは、今日も可愛いね」

「可愛いって! それを言うなら、杏奈のほうだよ」


 ポニーテールがトレードマークの杏奈のお父さんとお母さんは、二人とも有名な俳優さん。

 杏奈は、美男美女の両親の遺伝子を良いとこ取りしたような、とても綺麗な顔立ちをしている。

 身長155cmのわたしよりも背が低くて、小動物みたいに可愛らしい女の子。


「ねぇねぇ。早くクラス分け表、掲示板に見に行こうよ」

「うん、そうだね」

「私ね、依茉ちゃんと同じクラスになれますようにって、春休みに神社でお祈りしてきたんだ」

「ほんとに!? 嬉しいなぁ〜」


 杏奈の言葉にほっこりしながら校門をくぐり抜け、校舎の正面玄関へと向かうと。

 クラス分け表が貼りだされた掲示板の前は、多くの生徒たちで賑わっていた。


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