イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない
杏奈と一緒に教室に行くと、生徒はまだ半分ほどしか来ていなかった。
出席番号順に決められた席に、わたしは着席する。
「まおりんは、違うクラスみたいだね」
スクールバッグを置いて、わたしの席へとやって来た杏奈が教室を見渡し「まおりんのことも神社でお願いしたのに……」と、肩を落とす。
杏奈の言う “ まおりん ” とは、中等部の頃からわたしたちと仲が良かった仲川真織というバレー部の女の子。
真織もわたしたちと同じように、花城学園の中等部から高等部に内部進学したのだけど。
5組のところに彼女の名前はなかったから、どうやらクラスは離れてしまったみたい。
「残念……」
杏奈と二人でしばらく落ち込んでいると。
「ちょっと、ふたりとも! 朝から元気ないなぁ」
「わっ!?」
突然後ろから、誰かに背中をバシッと叩かれた。
「痛……って、えっ、真織!?」
わたしが後ろを振り返ると、そこにはショートヘアの真織が立っていた。
「まおりん、なんで5組にいるの?!」
「なんでって。あたしも5組だからに決まってるじゃん」
「でも、クラス分け表で、5組に真織の名前なかったよね!?」