イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない


「お、お兄ちゃん!?」

「依茉、前向いて。俺がつけてあげるよ」


 あっ。そういうことか。


 お兄ちゃんに言われるがままわたしがくるっと前を向くと、お兄ちゃんが背後に立つ気配がする。


 そしてお兄ちゃんの手によって、襟元にパチっとリボンがつけられた。


「はい」

「ありがとう」


 わたしは、お兄ちゃんに微笑む。


「こら、あんたたち! 何やってるの!? 早く行かないと、電車に間に合わなくなるわよ。新学期から遅刻する気!?」

「やべっ! 依茉、走るぞ」

「うん! お母さん、行ってきます」


 お母さんに声をかけられ、わたしはお兄ちゃんと慌てて走り出す。


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