イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない


「ああ。悪いな、寺内(てらうち)。迎えに来てもらって」


 寺内と呼ばれた男性は「初めまして。私は、一堂家にお仕えしている寺内と申します」と、わたしに向かって深々とお辞儀してくれる。


 わたしも寺内さんに自己紹介し、一礼した。


「寺内は、俺が生まれる前からずっと家に仕えてくれている執事なんだ」

「へぇ、執事さん……す、すごい」


 高級車に執事が登場し、一堂くんは本当にお金持ちの御曹司なんだと改めて思わされる。


「それじゃあ、一堂くん。わたしはこれで……」


 一堂くんのお迎えが来たのなら、ようやく彼から解放されると、わたしは一堂くんから離れようとしたが。


 またしてもわたしは、彼に手首を掴まれてしまった。


「何一人で帰ろうとしてるんだよ、依茉」

「え?」

「依茉が雨に濡れないようにと思って、寺内に迎えに来させたんだ。だから、一緒に帰るよ。さあ、早く乗って」


 えええ!?


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