メンヘラ・小田切さんは今日も妻に貢いでいる
改札を通り、ホームで電車が来るのを待つ。
通勤・通学時間帯で、沢山の社会人や学生がひしめき合っている。
しかし背が高い上に強面容姿の亜夢は、そこまで窮屈ではない。
どこか、他の乗客達に距離を取られているから。
亜夢的には、全く威圧しているわけでない。
極々普通に電車を待っているのだが、とにかく恐ろしいのだ。
電車が来て、乗り込む。
すると、奥から「こっち、こっち!」と手招きをしている男性が見える。
亜夢の同僚で、唯一の仲良い友人・安川 敏郎だ。
敏郎も、恐ろしい容姿をしている。
学生の頃の名残のある、首のタトゥー(大トカゲ)。
目の横には、傷痕がある。
敏郎が自身の横に置いていた鞄を取り、亜夢が座った。
「ありがと」
「ん」
二人が並ぶと、それはもう…恐ろしいオーラが漂う。
満員の電車内なのに、二人の周りは空間ができる程に。
「………」
「………」
二人はそれぞれ、スマホを扱い始めた。
敏郎はゲーム、亜夢は数百枚の翠李の写真を眺めている。
その殆が寝顔や、不意に撮った写真だ。
あまり写真が好きじゃない翠李。
構えると嫌がるので、カメラ目線の写真は十数枚しかない。
「ねぇ、トシくん。見てよ」
昨日撮りまくった写真を見せる。
(寝顔や、家事をしている姿、テレビを見ている横顔等…)
「んー?
あー、翠李ちゃんね」
「可愛いだろ?」
「可愛い」
「ほんとにそう思ってる?」
「思ってるよ」
「情が入ってないよ」
「翠李ちゃんにしか情を持たない奴に言われたくねぇ」
「せっかく見せてあげたのに」
「自慢の彼女だもんな」
「は?彼女?」
「うん、彼女」
「トシ」
「は?なんで怒んの?」
「彼女じゃない。
奥さんだ」
「あーそれな!
奥さん、奥さん」
「間違うな」
「はいはい、ごめんねー
…………でもよ。
たまには、こっち見てる写真見せろよ」
「だって、翠李ちゃんが嫌がるんだ」
「なんで?」
「恥ずかしいんだって」
「へぇー、可愛いのに」
「可愛いのにな」
「もっと、自信持てばいいのにな」
「あぁ、翠李ちゃんが一番可愛いのに」
「………フッ…相変わらず、ベタ惚れだな!(笑)」
こんな風に毎回、敏郎は亜夢に電車内で翠李の写真を見せられるのだ。
通勤・通学時間帯で、沢山の社会人や学生がひしめき合っている。
しかし背が高い上に強面容姿の亜夢は、そこまで窮屈ではない。
どこか、他の乗客達に距離を取られているから。
亜夢的には、全く威圧しているわけでない。
極々普通に電車を待っているのだが、とにかく恐ろしいのだ。
電車が来て、乗り込む。
すると、奥から「こっち、こっち!」と手招きをしている男性が見える。
亜夢の同僚で、唯一の仲良い友人・安川 敏郎だ。
敏郎も、恐ろしい容姿をしている。
学生の頃の名残のある、首のタトゥー(大トカゲ)。
目の横には、傷痕がある。
敏郎が自身の横に置いていた鞄を取り、亜夢が座った。
「ありがと」
「ん」
二人が並ぶと、それはもう…恐ろしいオーラが漂う。
満員の電車内なのに、二人の周りは空間ができる程に。
「………」
「………」
二人はそれぞれ、スマホを扱い始めた。
敏郎はゲーム、亜夢は数百枚の翠李の写真を眺めている。
その殆が寝顔や、不意に撮った写真だ。
あまり写真が好きじゃない翠李。
構えると嫌がるので、カメラ目線の写真は十数枚しかない。
「ねぇ、トシくん。見てよ」
昨日撮りまくった写真を見せる。
(寝顔や、家事をしている姿、テレビを見ている横顔等…)
「んー?
あー、翠李ちゃんね」
「可愛いだろ?」
「可愛い」
「ほんとにそう思ってる?」
「思ってるよ」
「情が入ってないよ」
「翠李ちゃんにしか情を持たない奴に言われたくねぇ」
「せっかく見せてあげたのに」
「自慢の彼女だもんな」
「は?彼女?」
「うん、彼女」
「トシ」
「は?なんで怒んの?」
「彼女じゃない。
奥さんだ」
「あーそれな!
奥さん、奥さん」
「間違うな」
「はいはい、ごめんねー
…………でもよ。
たまには、こっち見てる写真見せろよ」
「だって、翠李ちゃんが嫌がるんだ」
「なんで?」
「恥ずかしいんだって」
「へぇー、可愛いのに」
「可愛いのにな」
「もっと、自信持てばいいのにな」
「あぁ、翠李ちゃんが一番可愛いのに」
「………フッ…相変わらず、ベタ惚れだな!(笑)」
こんな風に毎回、敏郎は亜夢に電車内で翠李の写真を見せられるのだ。