メンヘラ・小田切さんは今日も妻に貢いでいる
「翠李ちゃん!ただいま〜」

玄関を入り、呼びかけながら靴を脱ぐ。
すると、パタパタ…と翠李が両手を広げて駆けてきた。

亜夢もフフ…と微笑んで、花束を玄関棚に置き、両手を広げた。
ピョンと飛びつく、翠李。

「おかえり!亜夢さん!」
「フフ…ただいま!」

まるでコアラのように抱きつき、亜夢を見下ろす翠李。
亜夢も少し見上げて、額をくっつけた。

「ん?亜夢さん、そのお花…」

「あ!うん!
今日は、ブーケだよ!」

「へぇー!綺麗〜!」
ゆっくり下ろしてもらい、花束を取る。

「気に入ってくれたかな?」

「もちろん!
素敵だね!」

「良かった!喜んでくれて!」

「あ!でも、亜夢さん」

「ん?」

「ウチ、花瓶…ない…」

「あ!そうだったね…
そこまで考えてなかった…ごめんね…」

「ううん!
あ、そうだ!
ご飯食べたら、ホームセンターに買いに行こ?
確か、下のホームセンターなら遅くまで開いてるはず!
夜のデートしよ?」

「うん!いいね!
行こう!」


「―――――亜夢さんって、いつもどうやって貢も…いや、プレゼント考えてるの?」
夕食を仲良く食べながら、翠李が問いかける。

「んー?
ネットだよ!
“20代 女性 プレゼント”で!」

「なるほど!」

「………あ…でもね…
今日の花束は、トシくんのアドバイスだよ」

「あぁ!安川さんか!
へぇー!さすがだね!
安川さんも、冬菜(ふゆな)さん(敏郎の恋人)に贈ったりしてるのかな~?(笑)」

「あ!でもでも!
ブーケを選んだのは、俺!」
翠李が敏郎を褒めるので、慌てたように弁解する。

「うん!ありがとう!
きっと亜夢さんのことだから、私のことを考えて決めてくれたんだろうなぁ〜
フフ…嬉しい!」

「うん、もちろんだよ!
でも今度からは、自分で考えるね!
やっぱ翠李ちゃんへのプレゼントを、他人が考えるなんてあり得ない!」

「え?」

「“俺が”考えないと、意味がない。
翠李ちゃんは俺の奥さんなんだから!」


夕食を済ませ、一緒に片付けてから買物に出た二人。
指を絡めて手を繋ぎ、ゆっくり歩く。

「フフ…こうゆうの、いいね!
夫婦って感じ!」

亜夢を見上げ、翠李が幸せそうに微笑む。
亜夢もつられるように、翠李を見下ろし微笑んだ。
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