メンヘラ・小田切さんは今日も妻に貢いでいる
次の日。
朝からチョコ作りに励んでいる、翠李。

そして亜夢は、そんな翠李の動画や写真を撮り続けていた。

今日は土曜日なので、亜夢も仕事が休みなのだ。

「亜夢さん!」

「あ!こっち見てくれた!
フフ…可愛い〜!」

「席、外しててってお願いしたよね!?」

「やだよ!
仕事以外、翠李ちゃんから離れたくない!
翠李ちゃんを視界に入れておきたい!」

「だから!
外に出ててってお願いしたわけじゃないでしょ?
ソファに座っててってお願いしてるんだよ?」

「でも…でも…」

「亜夢さん!!」

「あ…あ…怒んないで…!
ごめんね!
わかったから!
怒んないで!嫌いにならないで!」

翠李の鋭い視線と声色を受け、漸く亜夢はシュンと落ち込みソファに戻るのだった。


「――――亜夢さーん!」
項垂れている亜夢にパタパタ…と近づき、隣にちょこんと座った。

手には、大きなチョコが握られている。

「あ…あ…翠李ちゃ…も…怒ってない?
嫌いにならないで?
俺、死にそう…」

「………」
翠李はチョコをテーブルに置いた。
そして、両手を広げた。

「翠李…ちゃ……」

「亜夢さん、大好き!
はい!ギュッてしよ?」
まるで吸い寄せられるように、翠李を抱き締めた。

「翠李ちゃん…翠李ちゃん…好き、好き、俺も大好き……!」

「あ…亜夢さ…ぐる、じ…い…ぃ」
あまりにも強く抱き締めるため、翠李は息苦しくなる。

「あ!ごめんね!!」
バッと離して、向き直った。

「フフ…ううん!
いいよ!
“それくらい”私が好きってことだし!」

「うん!好き、好き、大好き!!」

「フフ…私も好き!!」
そして、テーブルに置いたチョコを渡した。

「ありがとう…!
早速食べていいかな?」

「もちろん!」

「フフ…一緒に食べよ?
翠李ちゃんと一緒に食べたい!」

「うん!
飲み物、何飲む?
コーヒーがいいかな?」

「うん、そうだね!
俺も一緒にする!」
二人で仲良く淹れて、仲良くチョコを食べた。


「ん〜!美味しい!
美味しいよ、翠李ちゃん!」
「フフ…良かったぁ!」

「………あ、あの…ね…翠李ちゃん…」

ゆっくり、食べかけのチョコをテーブルに置いた亜夢。
どこか思い詰めたような、真剣な表情(かお)で向き直った。
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