メンヘラ・小田切さんは今日も妻に貢いでいる
いつものように、両手を広げて駆けていく翠李。

「亜夢さーん!おかえりぃ~」

亜夢も嬉しそうに両手を広げて待つ。
飛びつき、コアラのように大きな亜夢にしがみつく。
「フフ…ただいま!」

翠李は、この瞬間が大好きだ。
微笑み合う、亜夢と翠李。

「中に入ろう?翠李ちゃん」
「うん!」


ソファに並んで座り、亜夢が翠李の手を包み込むように握った。

「翠李ちゃ…あ、あのね…?」
「うん」

「今日、その……」
「………あー、貰ってないよ」

「え?」
「ホワイトデーの話でしょ?
貰ってない。
大丈夫だよ!」
言いにくそうに目を泳がせる亜夢に、翠李は微笑み言った。

「ほ、ほんと!?
良かったぁ……」
「うん!大丈夫!」

「うー、翠李ちゃん大好き!
好き、好き、好き、好き、好き!」
ホッと肩を撫で下ろし、翠李を抱き締める。
翠李も、亜夢の背中をゆっくり撫でた。

「―――――翠李ちゃん、俺からはこれだよ!」
「フフ…ありがとう!」

小さな箱を渡す、亜夢。
翠李は大切そうに受け取り、丁寧に開けた。

「ピアスだ!綺麗〜」
「色々考えたんだけど、結局ピアスにになっちゃった(笑)
ホワイトデーのお返しも兼ねてるから、お金ってわけにはいかないし……」

「ありがとう!
早速つけるね!」 

ピアスをつけた翠李が「どう?」と亜夢に見せる。

「……/////」
(綺麗だ…誰よりも、何よりも……)

「ん?亜夢さん?」

「綺麗だよ、翠李ちゃん!」

「フフ…ありがとう!」

微笑む翠李を抱き締める、亜夢。
「ほんと、綺麗…/////
俺なんかが、関わっちゃダメなくらいに」

「え?」
 
翠李の肩に、顔を埋める。
「翠李ちゃんはどうして、こんなに綺麗なの?」

「え?え?」

「俺、重いでしょ?」

「亜夢…さん?」

「トシくんがね。
言ってたんだ。
“翠李ちゃんを信じろ”って。
でも俺は、どこか信じてないところがある。
翠李ちゃんは、ほんとに良い女だから。
容姿も可愛くて、性格も良くて、申し分ない人。モテるに決まってる。
だから…どこか信じられない。
なのに翠李ちゃんは“大丈夫だよ”って安心させてくれる。
こんな、どうしようもない俺を……」

翠李の顔が見れなくて、肩に顔を埋めたまま切なく言う亜夢。

翠李は「亜夢さん、私を見て」と向き直させた。
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