メンヘラ・小田切さんは今日も妻に貢いでいる
小田切さんの寂しい一日
亜夢&翠衣の自宅・玄関。

出掛けようとしている翠衣と、翠衣の手を掴み切なく見下ろしている亜夢。


「―――――翠衣ちゃん、どうしても行くの?」

「うん。久しぶりだし!」

「俺をここに置いて?」

「うん。
そんなに遅くなんないから、お留守してて?」

「俺を捨てるの?」

「捨てないよ」

「俺、死んでるかもしれないよ?」

「そんな、大袈裟な…(笑)」

「え?本気だよ?
翠衣ちゃんがいないと、俺死ぬ!」

「亜夢さんが死んだら悲しいから、死なないで?」

「ほんと?
俺が死んだら、悲しい?」

「当たり前でしょ?
大好きだもん!!」

「フフ…フフフフ…嬉しっ!
俺も、翠衣ちゃんが大好き!」

二人はふざけているわけではない。
至って、真剣な会話である。


今日は、翠衣が友人から“花見”に誘われ、久しぶりに会えるからと向かうとしていた。

玄関で駄々をこねる亜夢を、必死に説得しているところだ。


「亜夢さん」

「ん?なぁに?」

「亜夢さんのことが一番大好きだけど、友達に会うの、ほんと久しぶりなの。
会って結婚の報告したいし、色んな話をしたい。
もちろん男性はいないし、女子会だから!
本当は、亜夢さんのお仕事中に予定してたんだけど、どうしても平日に休みがとれない子がいて……
ごめんね。
でも、行かせてほしい!」

「…………わかった。
翠衣ちゃんをあんまり困らせたくない!
だから、我慢する!
死なないで、ちゃんと留守番してるね!」

「うん!生きててね!」

何度も言うが………決して二人は、ふざけてるわけではない。
至って、真剣に会話している。


そんなこんなで、マンションを出た翠衣。
待ち合わせ場所である、高台の公園に向かった。

「―――――ごめんね〜遅くなっちゃって……!」

「あー、翠衣!!」
「やっと来たー!!」
「遅いよぉー!」

高校の時の友人・トモコ、ヒロエ、ハナエだ。

「早速食べよ?」

「わぁ〜美味しそうだね!」
「でしょ?」

「これぜーんぶ、トモコの手作り!」
「凄い!!」

「いただきます!」
声を揃えて言い、食べ始める。

「あ!そうだ!
翠衣、結婚おめでとう!」

「フフ…ありがとう!」

「旦那さん、どんな人?」

「うーん……
見た目は怖い…かな?
でも優しくて、頭もいいし、カッコいいし、それに……可愛い人!」

「完璧じゃん!」
「まさに、翠衣の理想だったんじゃない?」

「うん!大きくて、いつも包んでもらってる(笑)」

「旦那さんは今、何してるの?」
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